「ラピュールはじめて物語」第10回話
2013年12月27日10:53

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シリーズ「ラピュールはじめて物語」第10回

今回からは、私の仕事の原点について話したいと思います。 私の同居している母と、今は亡き祖父のお話からはじめます。

私の父は、山梨県の出身 ですが、それはもうすごいところにすんでいました。
もともとは武田家の落ち武者だったそうで、敵に見つからない、山のどんずまりのようなところに住んでおりました。もちろん農家でした。 一方私の母は、旧満州国の紫禁城の隣に住んでいた商社のお嬢様だったそうです。

私の祖父は、満州で商社を経営し、それが繁栄を極めておりました。内地で米などの物資を買いつけ、それを戦地へ届ける仕事です。自宅の敷地には、満州鉄道の引込み線があり、自宅から直接400名ほどの部下を引き連れて自宅の駅から仕事に出かけ、また、その部下全員を引き連れて帰宅。全員で食堂へ行き食事をする。屋敷には、食事や炊事洗濯を用意する家人が沢山いて、多くの人が集まる。想像を絶する賑やかさでありました。
満州鉄道の高官や政府の要人とも交流があり、高名な政府の役人達にも祖父は資金援助をしていたようです。(貸したお金は、返してはもらえませんでしたが)私の母、孝子はそんな豪商の深窓の令嬢として、贅沢に守り育てられていました。 母の着物を新調するとなれば、祖父の計らいで、着物の反物が貨車何台分も届けられ、一生かかっても使い切れないほどの生地が山と積まれたそうです。

今、考えると信じられない話ですが、母は映画「ラストエンペラー」を私と一緒に見た時などは、邸宅が紫禁城の隣であっただけに、本当に懐かしそうに、話しをしてくれました。 そんな、お嬢様であった母も、やがて成長し成人し恋をします。
当時、満州鉄道に勤め普通のサラリーマンであった父と出会い、そして結ばれる事になったのです。当時、豪商であった祖父がよく許したものだと思いますが、とにもかくにも、父と母は結婚し満州鉄道の本社がある「大連」に居をかまえ、私も生まれました。

だから、私も満州生まれということになりますね。家族との束の間の幸せな時。
しかし、時代は繁栄の時を終え、次第に日本の敗戦色が強くなってきました。そしてアメリカが参戦し、中国共産党の勢いが強くなり、それに危機感を覚えた祖父は、国民党総裁の蒋介石から「いざという時は守る」という約束を取りつけます。
みな、大丈夫だろうとたかをくくっておりましたが、終戦の局面では、あっという間に占領され、かねてからの約束であった便宜も図ってもらえず、命からがら、日本に引き上げる事になったのです。華やかであった当地での暮らしにひきかえ、それは、過酷で悲惨な地獄の旅路でした。

(望月信子)

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